アレルギーのリスク管理の大変さ

アレルギーの管理は神経すり減らします

現代病とも言われるアレルギー。近年アレルギー有病率が増え続けていて、保育所でもアレルギー対応食に神経をすり減らしています。それも1食品のみならず複数併せ持つ複合除去食が年々増えていて、調理も配膳も大変になってきています。厨房内の食事管理ボードに名前を書き上げ、入所時には調理員、保育士にも周知し調理ミスや誤配膳がないよう細心の注意を払います。献立表も卵禁、乳禁、大豆禁、小麦禁、青魚禁・・・と通常の給食の献立から代替メニューまで作成するようにし、絶対ミスがないように気をつけています。

しかしながら、アレルギー対象食品は増加の一途をたどるばかりで、個別対応する為幼児数以上の調理の手間がかかってしまいます。喫食3時間前調理開始で衛生管理を行いたいけれど、個別対応が多く早めに調理開始しなくては間に合わないケースも。

保育士のほうでも配膳前の食事チェックにかなり時間を要することから、昼食配膳時間を早めて欲しいとの意見が出てきて、昼食調理開始時間がどんどん早まってくる状況でした。

 

 

思い切った対応でアレルギー対策を

病院勤務の栄養士の友人に話しをしてみたところ、病院でもアレルギー対応に追われていることと、加えて薬剤との相互作用の対応にも苦労しているとのことでした。投薬内容によって食品の禁忌があるにも関わらず、オーダリングシステムで薬品のオーダーと食事のオーダーが連携しておらず、主治医の認知力に頼っているとのことです。栄養カンファレンス等で服薬内容の議題が上がった際に初めて食品で相互作用が起きるものがある薬が処方されていることに気付くことができるケースもあり、入院後数日経過してから禁忌食のオーダーに変わることもあるとのことでした。友人の病院では入院後1週間以内にカンファレンスを行ってはいるものの、1週間以内に禁忌を把握できず禁忌食材が提供されることを危惧し、リスクカンファレンスで薬品と相互作用のあるとされる食品を献立から外すことに決めたとのことでした。具体的には納豆やグレープフルーツ、牛乳が該当しますが、牛乳は代替が難しいことと、牛乳が禁忌になる薬品が友人の病院では殆ど処方されることがないということから対象外になったようです。しかし、納豆とグレープフルーツに関しては献立に使用しないということにリスクカンファレンスで決定したそうです。

そのことにヒントを得、保育所でも一番アレルギーの多い卵と乳製品を使用したメニューを献立に組み込まないということを給食委員会で提案してみました。

卵や乳製品の栄養価の高さや栄養補給を考えると栄養士として苦渋の決断とも言えましたが、栄養補給より安全第一と考えての思い切った提案でした。

反対意見が出ると覚悟していましたが、保育士のほうでも配膳前の食事チェックにかなり時間を要することと、誤配膳によるアナフィラキシーショックなどが怖いということから満場一致でその提案が採用されることとなりました。

それでも卵や牛乳のアレルギーのない保護者からクレームが出るのではないかということが心配されたので、一番にアレルギーのある子供達の命の安全優先にしたいということ、食事は家庭での食事が一番であり不足する栄養素は家庭で補えること、個別対応が増え過ぎて煩雑になってしまうことを防ぐためという説明文を作成し配布し理解を得るようにしました。

その結果、保護者からのクレームは一切なく、またアレルギーを持つ子供の保護者からは感謝の手紙をもらいました。その手紙には安全管理への感謝と、我が子が今まで周りの友達と自分が別メニューになることに淋しさを感じており、周りと同じものを食べられる、自分1人別にならずに済むということを喜んでいる・・・ということが綴られていました。

現在は卵と乳製品抜きの献立作成を行い、調理員たちも随分スムーズに調理を行うことができています。また、保育士も配膳前チェックに要する時間短縮に繋がり、より細やかにその他のアレルギー対応もできるようになったと喜ばれています。

思い切った対応を提案してみて良かったと感じました。

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