食育の難しさを痛感

「食育」に情熱をかけても成果が上がらない!

保育所の栄養士として勤め始めた頃、「食育」という言葉を日々呪文のように唱え、保育所の栄養士の本分であるとの思いから、園児達への関わりを常に模索していました。

食育計画書も小まめに見直し、もっと子供達に「食」に興味を持ってもらいたい、好き嫌いをなくしてもらいたい、、、と食事時間は園児が食べている様子も見に行き、声かけも熱心に行っていました。子供達に栄養のことを理解してもらいやすくするようにキャラクターを用いた媒体作りもしました。

しかしながら、保護者との連絡ノートのやり取りで「家では野菜をあまり食べません」「偏食が多くて困っています」といった記載は一向に減らず、保育所ではしっかり食べられる子供が家庭ではあまり食べられないということも多々あるようでした。

保育士に相談したところ、

「同じ歳のお友達と一緒に食べるからつられて食べるということもあるけれど、家庭での食育に問題があることが多い。食育というのは子供へのアプローチのみならず保護者や家庭への働きかけが必要」

「いくら子供に野菜が身体にとって大切な食材だと伝えても、家で出てこないものは食べることはできない」

「栄養バランスが大切だと頭で理解していても、実際それを食事の形にする具体的な方法を知らない親は意外と多いもの」

とのことでした。親に対しての食育と言われても学校では具体的な方法は教わっておらず困惑してしまいました。

 

 

親への食育の取り組みを

保育所に子供を預けている親は共働きであり、多忙でありあまり家庭での様子をゆっくり聞いたり、食事内容まで把握したりすることは難しいのが現状です。そこで、まずアンケートを実施してみることとしました。家庭で困っている食事の悩み、栄養相談を受け付けました。そこで、出た意見を栄養だよりにまとめて配布することにしました。それを読むことで他の保護者も参考にできたようです。また、色々やってみたいけれど、料理のレパートリーが少ないという意見も多くあったので、定期的に保育所で人気のレシピを配布し、年度末にはそれを1冊の冊子のようにまとめて配布することも行いました。

また、保育士の提案で「半日保育士体験」の取り組みも行いました。半日保育士と同じことを親にしてもらい、子供との関わりや活動量を見直すきっかけにし(動くことでお腹をしっかり空かせ、しっかり食べさせることにつなげる)、そしてその後保育所の給食を実際食べてもらい食についての指導を保護者対象に行いました。

また、食事後の歯磨きについてもセットで話をするようにしました。

その場では、栄養士→保護者という一方的な指導ではなく保護者同士の交流や悩み相談の場にもなりました。同じクラスの保護者同士の交流会にせず、様々な年齢のクラス混同にすることで「うちの子も○歳の頃はこうだったからこんな風にして食事に工夫した」「○歳の時はこんな風にするとうまくいった」などその年齢の子の育児を経験済の親の話しは特に参考になるようでした。

また、交流会の場で

「栄養バランス云々の前に仕事が忙しくて夜はどうかすると惣菜ばかりになる」

「自分が夜勤の仕事だと主人が子供達連れて外食することが多くなる」

「朝もバタバタして朝食を作ることができず保育所に連れて行く車内で菓子パンを食べさせている」

といったような現実的な話しも飛び出し、それぞれの家庭や環境に合わせたアプローチ法を考えていかなくてはならないと理解できました。

 

食育というのは子供へのアプローチではなく、その親へも働きかけることなのだと学びました。

また、その家庭に見合った方法で細やかな指導が必要だということも痛感しました。

 

 

沢山のイベントへの対応をどうするか?

保育所は行事が沢山!

保育所の一年は、春は遠足、夏は夏祭り、七夕、秋は運動会、芋ほり、発表会、冬はクリスマス会、餅つき、卒園式・・・と年中次々と行事があります。

行事以外にも清掃作業等もあり、何かとイベントが多いです。

基本的に保育士は女性が多いことから、力仕事や高いところで行う作業などはとても大変です。

栄養士も行事の度に食事の準備以外の準備や片づけに駆り出されることが大半で、その度に残業も増え、通常より仕事量が増える為一苦労です。

このようなイベントがあるたびに「男手」があると助かるのに・・・ということが多々あります。

保護者会の立ち上げ?ボランティアの募集?

他の保育所ではどんな工夫をしているか月に1度開催される市の保育研究会で相談してみると、イベントの度に保護者にボランティアを募集しているというところは多かったです。

それから、保護者会の保護者のサポートが大きいということも分かりました。

自分の勤めていた保育所には保護者会はなかったので、保護者会の立ち上げをしたいと思い保護者会のある保育所の栄養士に様子を聞いてみました。

保護者会メリット:

*イベントの度に保護者(特にお父さん)に手伝ってもらえることから、力仕事でかなり助かる。

*保護者で飲食関係やイベント会社に勤務している人がいると、イベントに必要な機材やツール、食材をかなり安価で購入できる。

*保護者が介入することで、共に創り上げている連帯感が生まれ、親も子供もより楽しめている様子が伺える。

 

保護者会デメリット:

*総会を開催しなくてはならない。総会準備やお膳立ては保育所側がメインで行う必要がある。

*保護者からクレームが出るケースがある。「仕事をしていて忙しいのに保護者会の役員が回って来ると負担が大きい」など、保護者への負担が大きくなる。

*場合によっては保護者会の役員への接待などがある。

 

このように保護者会を立ち上げるにあたり、メリット・デメリットがあり一概に保護者会を立ち上げると保育所の負担軽減につながるだけではないことも分かりました。

このような意見を踏まえて、当保育所ではまずイベントごとに保護者のボランティアを集うこととし、イベントに関わった保護者の感想文などを保育だより等に掲載し配布することとしました。

そこで、イベントに保護者が関わることの楽しさなども感じてもらえるようにしました。決して押し付けにならないよう配慮しました。あくまでも保護者から声があれば保護者の負担にならないレベルで保護者会を立ち上げる・・・というスタンスになりました。

その結果、当保育所では保護者会という正式な形ではなく、保護者有志という形でイベントや卒園式の出しものなどに参加できる(したい)保護者は参加「できる」という形をとることにしました。

年によっては保護者のサポートが多い年もあれば、人数が少ない年もありましたが、正式な「保護者会」ということではなく、ボランティアとしたことで不満も負担も少なくなりました。また、ボランティアで集まった保護者同士でほぼ保護者会に近いことをしてもらえた年も。

あまり型に捉われたやり方をしないほうが逆に気持ちよくできるケースもあると感じました。

今後もしばらくこの方法で行っていこうということになりました。

 

 

 

保育所の栄養士の社会的地位向上のために・・・

保育所の栄養士は仕事がハードな割に給料が低い?!

学生時代、栄養士の募集を探していて「保育所の栄養士」の募集がとても多く、また頻繁に募集が出ると感じていました。保育所の栄養士は長続きしない・・・仕事がきつい・・・そんな噂もちらほら。

自分自身が保育所に勤めて感じたことは「仕事がハードな割に給料があまり良くないところが多い」ということでした。

同級生で病院や老人保健施設で勤めることになった友人に話しを聞くと、給料は保育所の栄養士よりはどこも良いという印象を受けました。また、栄養士が行う栄養管理業務や給食業務に従事できる時間を保育所の栄養士と比較し、確保してもらいやすい環境にあるということも感じました。

保育所では保育士が行う業務も場合によっては栄養士がフォローすることもありますし、アレルギー対応食などはかなり気も遣うこともあり、病院や老人保健施設と同様にリスク管理が必要で気を張る仕事内容であり、ハードな職場だと感じています(【保育所の1日は厨房業務に追われる】の記事参照)。

にも関わらず給料の安さ、また栄養士の保育所内での栄養士の立場、社会的地位が低いことが納得できず不満です。

 

これからの保育所の栄養士に求められるもの

そもそも保育所には病院のように診療報酬というのもがつきません。管理栄養士が栄養指導を行った場合や、食事管理に関して加算算定できるようになっていません。保育所も病院以上にアレルギー対応が多く、食事は個別対応であるにも関わらずそれに関する加算がつかない・・・つまり社会的にまだまだ認められていないところが大きい為のようです。また保育所の栄養士は「その資格を持っていないと、その職務に就けない=業務独占」でないからです。調理師の配置義務はあっても管理栄養士の配置義務がないこともあり、保育所での募集は栄養士で管理栄養士でないことも多いようです。そもそも国家資格である管理栄養士と公的資格である栄養士とでは給料も違います。また、配置後も「栄養士でなければならない業務」という認識を園長や施設長が持っておらず、「保育士業務兼調理業務を行う人員」という認識を持たれているところも多いようです。

その為、保育所の栄養士が栄養士として特化した仕事を行うことが難しい職場もまだまだ多いと聞きます。園長や施設長の考え方次第で栄養士の業務が随分異なるという印象もあります(施設による栄養士の待遇の差が大きい)。

自分自身、保育所で行う業務から学会発表や論文を書くことにまで至っておらず、結果をまとめ後世に残していけるものが未だないこともありますが、園児や保護者と関わり、そこで取り組んだことを何年先までも追跡いくことや、結果をまとめていくこと、それを世に出していくことで栄養士の社会的地位を上げていかなくてはならないと感じています。

日々与えられた業務をこなしていくのみならず、栄養士の社会的地位を向上していくには、様々な職域の栄養士がそれぞれの立場で本分を全うし、結果を出していき、それを後世に残していけるようまとめていくことが大切なのだと思います。給料アップ、待遇アップ、地位向上のためには自分自身で切り開いていくしかないのだと。

 

離乳食の進め方は難しい

離乳食の進行は家庭での進め方が優先であることに驚き!

離乳食の進め方がとても難しいと感じました。

栄養士は学生時代、離乳食については離乳開始前の授乳時間の調整、開始時期、進行、食形態について学んでいきます。そして厚生労働省の授乳・離乳の支援ガイドを参考にし、離乳食を進めていきます。

しかしながら、実際はその目安通りにいかないケースは多々あります。

まず、離乳開始前は授乳時間を約4時間おきに調整し生活リズムを形成しておくこと・・・ということが教科書的には基本となっていますが、各家庭、保護者によって実施状況が様々で、授乳間隔が開いておらず離乳食が進みにくいケースもあります。

また、親の判断で異常に進行が遅い場合やその逆もあります。アレルギー対策や、離乳期に与えて欲しくない食品(はちみつ)、食品選びも様々で保育所での給食提供、摂食状況に影響があるケースも。

また、保育士も養成課程で「子供の食と栄養」の授業で厚生労働省の同ガイドを学習していても、殆どそれに準じていない進め方を保護者と決めているケースも見られます。

勿論授乳・離乳の支援ガイドでも離乳食の進め方のガイドはあくまでも目安であり、子供の食欲や喫食状況、成長等の状況に応じて微調整は必要とされていますが、極端なケースは安全面や栄養バランス面で不安があることもあります。

アレルギーが心配だからと自己判断でやたら除去して偏った食事を提供するケースや、脂肪分やたんぱく質量が多く、開始時期を少し慎重にしたい食品を早く提供し過ぎていたり、栄養量が不足していて成長曲線のカーブに沿わず発育不良に繋がっていたりといったことです。

また、咀嚼が十分できるにも関わらず家庭での離乳食のカットサイズが小さすぎて保育所でも必要以上に小さくしないと食べられないといったようなこともあります。その結果顎の形成が不十分になることも出てきます。

 

栄養士として見るに見かねる家庭での離乳食の進行を目の当たりにすると修正していきたくなります。知識があるだけに指導したい気持ちが出てしまうのです。しかし、原則は「家庭での進め方、考え方優先」であり、家庭で進めている離乳の方法を否定はしないのが基本で個別化が多くなり、管理が難しいです。

 

 

連携、すり合わせが大切

当初は離乳の進め方に疑問がある乳児を見ると、そこを修正したい気持ちが強くありました。保育所の食事だけでもガイドに沿った形で提供し、軌道修正かけられないかとも思いました。しかし、保育所の食事は、3食のうちの一部を担っている訳ですが、あくまでも基本は家庭での食事になります。戦後の日本の給食の意義としては、栄養不足を改善、栄養補給目的がありましたが、現在は栄養補給する目的としての給食提供ではありません。そのことをきちんと理解することから始めました。

そこを理解したうえで、保育士、保護者と連絡、連携を取りつつすり合わせをおこなっていきました。保護者にはなぜこの食形態で提供しているのか?その食材を提供している(しない)理由は何か?どんな事情や気持ちがあるのか?そういったことを連絡ノート等を通じて、もしくは保護者の送迎の際に直接保育士から確認してもらうようにしました。

保育士とは厚生労働省のガイドを共に確認しながら、その子にどのように離乳食を進めていくのが良いか話し合いをしました。

その中で、その子供に適した離乳食形態や進め方が見えてきます。

学校で学んだ通りが全てではなく、柔軟性を持ち、互いを尊重しつつ進めていくことでうまくことが運ぶのだと学びました。

離乳食に限らず、連携しながら現場の意見を汲み上げて物事を進めていくことが大切だと感じました。

アレルギーのリスク管理の大変さ

アレルギーの管理は神経すり減らします

現代病とも言われるアレルギー。近年アレルギー有病率が増え続けていて、保育所でもアレルギー対応食に神経をすり減らしています。それも1食品のみならず複数併せ持つ複合除去食が年々増えていて、調理も配膳も大変になってきています。厨房内の食事管理ボードに名前を書き上げ、入所時には調理員、保育士にも周知し調理ミスや誤配膳がないよう細心の注意を払います。献立表も卵禁、乳禁、大豆禁、小麦禁、青魚禁・・・と通常の給食の献立から代替メニューまで作成するようにし、絶対ミスがないように気をつけています。

しかしながら、アレルギー対象食品は増加の一途をたどるばかりで、個別対応する為幼児数以上の調理の手間がかかってしまいます。喫食3時間前調理開始で衛生管理を行いたいけれど、個別対応が多く早めに調理開始しなくては間に合わないケースも。

保育士のほうでも配膳前の食事チェックにかなり時間を要することから、昼食配膳時間を早めて欲しいとの意見が出てきて、昼食調理開始時間がどんどん早まってくる状況でした。

 

 

思い切った対応でアレルギー対策を

病院勤務の栄養士の友人に話しをしてみたところ、病院でもアレルギー対応に追われていることと、加えて薬剤との相互作用の対応にも苦労しているとのことでした。投薬内容によって食品の禁忌があるにも関わらず、オーダリングシステムで薬品のオーダーと食事のオーダーが連携しておらず、主治医の認知力に頼っているとのことです。栄養カンファレンス等で服薬内容の議題が上がった際に初めて食品で相互作用が起きるものがある薬が処方されていることに気付くことができるケースもあり、入院後数日経過してから禁忌食のオーダーに変わることもあるとのことでした。友人の病院では入院後1週間以内にカンファレンスを行ってはいるものの、1週間以内に禁忌を把握できず禁忌食材が提供されることを危惧し、リスクカンファレンスで薬品と相互作用のあるとされる食品を献立から外すことに決めたとのことでした。具体的には納豆やグレープフルーツ、牛乳が該当しますが、牛乳は代替が難しいことと、牛乳が禁忌になる薬品が友人の病院では殆ど処方されることがないということから対象外になったようです。しかし、納豆とグレープフルーツに関しては献立に使用しないということにリスクカンファレンスで決定したそうです。

そのことにヒントを得、保育所でも一番アレルギーの多い卵と乳製品を使用したメニューを献立に組み込まないということを給食委員会で提案してみました。

卵や乳製品の栄養価の高さや栄養補給を考えると栄養士として苦渋の決断とも言えましたが、栄養補給より安全第一と考えての思い切った提案でした。

反対意見が出ると覚悟していましたが、保育士のほうでも配膳前の食事チェックにかなり時間を要することと、誤配膳によるアナフィラキシーショックなどが怖いということから満場一致でその提案が採用されることとなりました。

それでも卵や牛乳のアレルギーのない保護者からクレームが出るのではないかということが心配されたので、一番にアレルギーのある子供達の命の安全優先にしたいということ、食事は家庭での食事が一番であり不足する栄養素は家庭で補えること、個別対応が増え過ぎて煩雑になってしまうことを防ぐためという説明文を作成し配布し理解を得るようにしました。

その結果、保護者からのクレームは一切なく、またアレルギーを持つ子供の保護者からは感謝の手紙をもらいました。その手紙には安全管理への感謝と、我が子が今まで周りの友達と自分が別メニューになることに淋しさを感じており、周りと同じものを食べられる、自分1人別にならずに済むということを喜んでいる・・・ということが綴られていました。

現在は卵と乳製品抜きの献立作成を行い、調理員たちも随分スムーズに調理を行うことができています。また、保育士も配膳前チェックに要する時間短縮に繋がり、より細やかにその他のアレルギー対応もできるようになったと喜ばれています。

思い切った対応を提案してみて良かったと感じました。

情報収集、学習の場は?

毎日の業務の中にちょっとした悩みや疑問は沢山!

日々業務を遂行していると、疑問に感じることや、悩むことは多々あります。

特にフォーマットがないものや、各保育所で自由にやり方やルールを決める事項、施設ごとのマニュアルなどは他園の栄養士に相談し、教わりたいことが沢山。

例えばスプーンから箸に移行するタイミングや歯磨きのスタート時期について。

子供が食事でスプーンから箸の使用に変えていくタイミングは特にガイドラインがある訳ではなく、個人差があるものはマニュアル化することも難しく子供の様子を観察しつつ決めていきますが、まだまともにスプーンを掴むことも難しい乳児が家庭では箸を使用していたり、就学前の園児がまだスプーンで食事をしていたりといったことがあり、移行のタイミングの見極めに悩みます。

家庭ではどうしているかを保護者に確認しつつ、実際食べている様子を見ていて感じたことを伝えるようにしたりしています。特にお弁当の日などはまだまだお箸を使えるレベルではない子供のお弁当にお箸がついていることもあり、家庭での判断に疑問を感じることも。また、そのことで箸の持ち方がおかしくなる原因になっているようにも感じます。

歯磨きのスタート時期についても、特に目安がある訳ではなく、各保育所で決定している状況なので悩むことも。他県が実施した歯磨きスタート時期についてのアンケートを閲覧する機会があり、それによると離乳食が始まった時点で開始する保育所もあれば、5歳まで保育所では行わないというところもありかなり幅があることにも驚きました。

何を基準にしたらよいのか?目安は?タイミングは?ちょっとした疑問は沢山です。

栄養士会に入会するばかりが全てじゃない

厚生労働省や各都道府県、市町村でフォーマットがあるものや、ガイドラインがあるもの、目安が示されているものについてはそれを参考にしながら実施できますが、そうではないものに関してはよく「各都道府県の栄養士会に入会して研修会で情報収集しよう」とか「栄養士会でネットワーク作りを」とあったので、早速都道府県の栄養士会に入会しました。

しかしながら、都道府県の栄養士会主催の研修会や生涯教育の年間スケジュールを見るとあまり保育所の栄養士向きの内容もなく、また参加した際にも保育所の栄養士はとても参加率が悪かったです。実際都道府県の栄養士会の保育所部会の連絡網を見ると、県内にある保育所の数と比較して、実際入会している栄養士の少ないことに驚きました。

自分は他所の保育所の栄養士から月1回行われる市の主催する保育研究会がおススメだと聞き、それに参加することにしました。その調理担当者部会というものに所属することとなりました。それは、市内の殆どの栄養士が所属しており、勤めている保育所が会費を負担してくれることとなりました。研究会では小グループでのワークもあり、日々悩んでいることや他の施設にちょっと聞いてみたいことなどが気軽に聞ける場でした。

都道府県の栄養士会では中央から講師を招いてレベルの高い講演を聴講できることや、最新の情報を得ることができるところは良さだと思いますが、日常業務での相談や情報交換は各市町村の保育研究部会などがしやすいかなという感じです。特に新卒時代は、レベルの高い話しを聞くより身近な悩みを相談できる場が現実的でしたから。

他の保育所の栄養士で、最初は小規模の研究会、日常業務が滞りなく遂行できるようになってから都道府県の栄養士会に入会したという人もいるようでした。

保育所勤めの栄養士は必ずしも都道府県の栄養士会ではなく、市町村の研究会など小規模の団体に所属するほうが日常業務での問題解決に繋がりやすいのかもしれないと感じました。

 

アレルギー対応は様々な団体も巻き込んで

アレルギーに対しての理解はまだまだ不十分

【アレルギーのリスク管理の重要性】の記事で記したように、アレルギー対応の大変さを日々痛感しています。時として、あまりに細かすぎるとアレルギー対応に調理員も根を上げることがあったり、ヒヤリハットがあったりということも。

時には年配の調理員などから「少しずつは食べさせたほうが免疫がついて食べられるようになると聞いたことがあるから、提供してみては?」といったような中途半端な情報を口にされることもあり、その都度指導していかなくてはならないこともあります。

栄養士だけが危険性を理解していても意味がなく、関わるスタッフ全員が周知し、アレルギーに関して十分に理解していなくてはきちんとした管理は難しいと思うとともに、まだまだアレルギーに対しての理解は不十分だと感じています。

各団体主催のイベントへの積極参加が効果的!

アレルギー有病の子供からは入所時に必ず担当医の記載する生活管理指導表と保護者が記載する除去依頼書を提出してもらっています。それを元に栄養士と園長が保護者に二次面接を行います。

そこではアレルギー源となる食品を食べさせた時に実際どういう症状が起きたか?アナフィラキシーショックを起こしたことがあるか?その時にどのように対応したか?といったようなエピソードを細かく聞き取りしていきます。そこで得た情報を給食委員会で保育士に伝達し、栄養科内のミーティングでも周知するようにしています。具体的なエピソードを伝えることで、アレルギーに対してより深刻に、具体的に受け止めることができるようになります。いい意味で「アレルギーは怖い」と感じることも大切だと思います。

また、アレルギーを持つ子供の親が立ち上げた患者会やアレルギー親の会、任意団体等各団体が企画するイベントへの参加を保育所スタッフに促すようにしています。

例えば、アレルギーに関する団体企画の食事会(フルコース)やバイキングなどではアレルギー源になる食材を外したメニューを実際食べることで、工夫次第で代替食も美味しく食べられることを学ぶことができます。

料理を実際食べることで、保育所での食事作りのヒントになることも。

また、アレルギーを持つ子供の親の体験発表やシンポジウムに参加して生の声を聴くことでよりリアルに「何とかしてあげたい」「アレルギーは命に関わる」という気持ちが強まります。

そういうイベントに自分達スタッフが積極的に参加することで、理解を深めることができ、意識やモチベーションが高まります。

現在当保育所ではアレルギーを持つ子供の保護者にアンケートを実施し、一番多かった「お祭りや外食では食べられるものが殆どなく、子供を安心して連れて行くことができない」という悩みを汲み、保育所で開催する夏まつりやお楽しみ会ではアレルギーに対応した屋台の料理を考案しています。

「地域のお祭りには参加できなかったけれど、保育所の夏祭りでしっかり楽しむことができた」「安心して子供が好きなものを食べさせることができた」といった嬉しい意見が多数寄せられました。

また、最近は科内で栄養士が講師となってアレルギーのミニ勉強会を昼休みを利用して数10分程度で行うようにもしています。

「生の声」や「具体的な活動」に触れることで、全員で向き合い、考えることに繋がったのが良かったと感じています。

保育所の1日は厨房業務に追われる!

栄養関係の書類を行う時間がない!

どこの保育所でも共通して言えることですが、保育所の栄養士配置は1施設1栄養士であることが多いです。関連施設が複数併設しているような場合は、一度に大量採用ということもありますが、基本的には1施設に1栄養士で、同一施設で栄養士複数名による給食管理を行うケースは稀と言えます。

保育所勤めの栄養士の1日は出勤と共に昼食と10時の補食作りの準備から始まります。昼食はクラスごと(年齢ごと)に配膳時間が異なり一番早いクラスは11時配膳であり、即厨房での調理業務に従事しなくては配膳が間に合わなくなってしまいます。子供達は配膳時間が遅くなると眠たくなってしまい、食事がうまく入らなくなるケースもある為、配膳時間は厳守です。その為昼食配膳までは厨房から出ることは殆どありません。

昼食配膳後は子供達が食べている様子を見に各クラスやホールに出て、適宜食事を食べる様子を見たり介助も行うこともあります。

それが終わると次は下膳、洗浄、そして続けて次は15時のおやつ作りを行います。

おやつ作り終了後はおやつの下膳業務。とにかく調理業務に追われ、一息つく頃には1日が終わっています。献立や発注、食育計画書の作成・見直し、栄養だより作成といった栄養関係の書類を行う時間を確保するのが大変です。

場合によっては持ち帰り業務も多く、帰宅後や公休日も仕事に追われてしまいます。

 

いかに業務を効率化するかがポイント☆

保育所勤めの栄養士で厨房業務に従事しないケースはないと言っても良いでしょう。厨房に入るのが当たり前であり、メイン業務と言えます。調理業務は得意であるにこしたことはありません。

そして、いかにして事務時間を確保できるかが重要ポイントになります。通常、早番、常勤、遅番と勤務帯がパターン化されていますが、栄養士は早番を行うのが一番事務時間を確保しやすいように思いました。早番勤務者は10時の補食、昼食作りと昼食の下膳業務を、常勤は10時の補食の下膳業務と15時のおやつ作りを、遅番は15時のおやつの下膳業務と延長保育時間帯の補食作りと最終片づけ(保育所によっては子供達の保育や保護者が迎えに来る際の引き渡しを行うケースも多い)を行うように分業化されます。栄養士が早番を行うと、昼食の下膳業務終了後13時半~1時間程度は事務仕事を行う時間が確保できる為です。

勿論その場合でもいかに下膳業務を速やかに終わらせられるかによって確保できる時間が違うので業務の効率かは必須です。

下膳や洗浄を行うスピードが大切なことは当然ですが、前倒しでできる業務はなるべく早くやっておいたり、事前準備できることは行っておくようにします。

また、時としては昼食を半調理品やカット野菜を使用したり、15時のおやつを既製品にしたりすることで手を浮かせることができます。

事前に事務時間が長く欲しい日は調理員や保育士に周知しておくとフォローしてもらえることもあります。

また、献立もサイクルメニュー化できるようにすることや、栄養だよりは以前作成したものを一部修正しつつ使い回すといったことも行います。

病院と違い書類作成は少ないとは言え、細々やらなくてはならないことが多いことや保育士が行う業務を補佐するケースもあること、イベントが多くそれの準備に時間を費やす為、スピードと効率化を身に付けることが必須です。

食育計画書の評価・見直しにも一苦労!

それぞれの立場で意見がまとまらない

【食育計画書に振り回された1年目】の記事に示したように、食育計画書の叩き台をなんとか作成しスタートしました。食育計画書は適宜見直し、評価をすることとなっているので話し合いが必要でした。月に1度開催される給食委員会での話し合いだけでは、話し合いが難しいことが大半でした。と言うのも、保育所は夏祭り、運動会、お泊り会、遠足、クリスマス会等々様々なイベントが次々と開催される為、給食委員会ではそのイベントで提供する食事についての話し合いも必要で、時間を要するからです。特に新規オープンの保育所は、前例がないことから何をするにしてもかなり打合せに時間を取られ、給食委員会の時間内で食育計画書の見直しや検討を行うことが難しかったです。

最初の1~2年は給食委員会とは別に食育計画書検討会議も立ち上げることになり、委員会や会議が増えることで、厨房業務にも支障をきたすことが多かったです。

また、その話し合いでは保育士と栄養士の意見がなかなか一致せず一苦労でした。時として話し合いで意見がまとまらず、食育計画書通りに実施することができないものもありました。

例を挙げると、衛生管理指導の一環として手指の洗浄について計画に挙げて、手洗いチェッカー等を使用するよう立案したケース。手洗いの状況確認のための専用ローションのアレルギーや安全性、手指への刺激、万が一口に入った場合などを心配して棄却を検討する保育士と、衛生教育を徹底したい栄養士とで意見が分かれるケース。

また、厨房での調理風景を実際に厨房内で間近に見て食への関心を高めたい保育士と、検便を提出していない子供達の厨房入室への拒否があり、離れた場所での見学に留めたい栄養士・・・といった具合に職種による立場上の意見の違い、思いの差といったことで意見が分かれてまとまらないことが多々ありました。

 

繰り返しの話し合いと計画は余裕をもって作成することが大切

委員会や会議が増えることで厨房業務に支障をきたすことについては、今まで栄養士1名、調理師1名で参加していた話し合いを栄養士1名のみの参加とし、代わりに給食スタッフのみで行う職場会議を開催し、そこで給食部門としての意見をきちんと取りまとめることができるようにしました。

保育士との意見の食い違い、ずれに関して一番意見が割れるのが衛生管理上の問題だったように思いました。何度も繰り返し、厨房内は衛生区域であり検便を提出していない人の入室は衛生管理上問題であることを伝えることや、手指の消毒の徹底と食中毒予防の関係についてエビデンスを明確に示しつつ理解をしてもらえるよう話し合いを繰り返しました。

また、例えば味噌作りなど「もの作り」の食育では、半分は厨房内で準備し、一部のみを園児に関わらせるようなお膳立てをするなどの工夫もしました。園児が調理する場合でも使い捨て手袋を着用させること、園児用の給食衣や帽子を準備してもらうことも施設長に依頼し、購入してもらいました。

それぞれの思いや意見、希望は尊重しつつ、譲れない部分については繰り返し説明するようにし互いに理解を深めて、すり合わせを行っていくことが大切だと思います。

意見がまとまらず、食育計画通りに計画実施ができないと、全てずれてくることや計画未実施が出てくるので、計画は欲張らないで少し余裕をもって立案することが大切だということも感じます。

食育計画書に振り回された1年目

右も左も分からない栄養士には酷!

保育所の栄養士が作成しなくてはならない書類の一つ食育計画書。食育計画書は厚生労働省で準備されたフォーマットがなく、計画内容どころか計画書のフォーマットさえも一から自分で作成せねばならず作成にはかなり時間を要しました。内容は教育の狙い(食と健康、食と人間関係、食と文化、料理と食など幅広い)、内容、配慮事項、活動等々ですが、各施設の特徴毎に見合った内容で作成をということを言われるのですが、新卒で新規オープンの保育所栄養士として入職すると、過去の食育計画書がある訳ではないことや、相談できる相手がいないことで大変苦労しました。

基本的に保育所には複数栄養士が配置されるケースは少なく、特に新卒で入職すると、例え新規オープンの施設ではなくとも相談できる相手がいないことに困惑しました。「これでいいのか?」「間違っていないだろうか?」という不安が常に付きまといます。

「どこに相談するのがいいのか」ということすら分からない新卒の栄養士に、一から食育計画書を作成することはかなり大変な労力でした。相談しやすい保育士も新卒で全く情報が得られず、監査でも必ずチェックされる書類であり急いで年度初めに年間計画を作成しなくてはならない・・・という焦りばかりが募ったことを覚えています。

他の施設、行政の栄養士、ベテラン保育士、調理員と連携

園長と主任保育士に相談し、ベテランの保育士で、別の保育所の経験があるスタッフにそこで作成していた食育計画書がどのようなものだったかをまず聞いてみることにしました。その保育士が以前勤めていた保育所で作成された食育計画書のコピーを入手してくれたので、まずそれを1番に参考にさせてもらいました。また、その保育所で食育計画書を作成した栄養士に連絡を取り、作成にあたっての助言を求めました。作成時の留意点等教わると共に、行政の栄養士に相談すると他の施設を幅広く把握していることから、その施設に見合った情報提供してもらえることも助言してもらい、次に行政の栄養士に連絡を取りました。ネットワーク作りが重要だと痛感しました。

行政の栄養士から同じ規模の保育所名を提示してもらうと共に、「保育所における食育の計画づくりガイド」や保育士栄養士が全国学校給食協会出版の「学校給食」などの専門雑誌を参考にすると良いと教わりました。

しかしながら、勤めている保育所の特性や事情に見合った食育計画書でなくてはならずあくまでもガイドブックや雑誌は参考までで、実際の食育計画書の作成についてはベテラン保育士が頼りになりました。

また、調理のスタッフで子供がいる人からも、その方が子供を預けていた保育所の情報を得ることができました。

「前の保育所ではこんな計画を立てていた」「この計画では無理がある」「子供を預けていた保育所ではこんな取り組みがあって良かった」といった具合に助言してもらうことでなんとか「叩き台」としての食育計画書を作成し、適宜給食委員会で見直すことになりました。

新卒栄養士が新規でことを始めるには、横の連携、ベテラン保育士、調理員への相談が大切だと思いました。入職前は栄養のことは栄養士に全て相談・・・と思っていましたが保育所では保育士や調理師、調理パート員全員がよき指導者、アドバイザーになってくれると感じました。

「自分でなんとかしなくては!」という気持ちが軽くなりました。